初恋 | 妄想少女

初恋

彼は言った。
「彼女ができたから、このまま関係は続けられない。」
かれとの壁を感じた。
私に今まで向けられた視線は、私を抱きしめる強い腕も
私だけに見せるその笑顔も、すべてが嘘だったと実感した。
うそだっていい。今までだってこうしてきたじゃない。
彼の意思は変わらない。

 そのとき初めて私は気がついた。彼のことが好きだった。
体だけの関係で満たされていたのではない。
彼の暖かい腕が私を包んで受け入れてくれていたから、
かれだから私は……温もりを感じていたの。

 彼への思いに気がついてしまった私はもう側にいられるはずがない。
自分で自分を苦しめている。
どうしてこんなことしたの?
自分を問い詰める。

寂しかったから?はやくバージン捨てたかったから?
優しかったから?

勝手に


思いあがっていただけ……



 今となってはもう戻れない。
今のようにも昔のようにも、
これからももう『普通』には戻れない。

 私はもう笑顔を彼に向ける事は許されない。
彼の笑顔は私のものではない。
私は友達にはなれない。

さよならを決断するしか私には方法がなかった。